中学3年生の10月。息子の通う、地域の公立中学校では先生と保護者、生徒による三者面談が始まっていました。
4月の時点から変更はないか、どのようなパターンでの受験となるのか、推薦枠は必要か、進学以外の選択肢があるか・・・など、学校側も把握しておく必要があります。
留学先に願書を出すのに必要な書類を中学校で用意してもらう必要もあり、このタイミングで先生に留学の意向を伝えることにしました。
先生、絶句・・・
まずは進路希望の変更をしたい旨を息子から伝えました。

第一希望校は、変わらずK公立校です。
第二希望をS私立校としていましたが、海外の学校に変更します!



え?
・・・担任の先生、絶句。
「どういうこと!?」と言わんばかりに、私の顔をガン見しました。
無理もない反応です。4月に出した進路希望調査票には、第一希望を公立高校、第二希望は私立、と記入していたんですから。



余談ですが、今は「滑り止め」という言い方はしないようですね。
あくまで「第二希望」だそう
先生は驚きながらも、本人に向かって「なぜ留学したいのか」を自分の口から説明するよう求めました。
少し考えて、息子はこんな感じで先生の質問に答えました。
自分には「将来の夢」というものがまだ見つかっていないこと。それならば、得意の英語力を高校で伸ばしていくことで、今後の進路の間口を広げたいこと。留学を経験して世界を広げ、将来について考えたいこと。
これは、高校を選択するときに幾度となく家族でかわしてきた会話です。
だいたいのことは適度にこなすけれど、ずば抜けた特技や「これだけは誰にも負けない自信がある!」という何かを持っているわけでもない息子。
だったら可能性を広げるために、とにかく広くなんでもやってみて経験値をあげること。息子が幼少期のころから、私自身、常に意識してきたことでもありました。
それを自分なりに咀嚼して言葉にしたようです。
そして、私からも留学を選択肢に入れる可能性となった経緯を説明し、先生は「留学は誰にでもできる経験じゃない。それを選択できる環境であることを感謝するべきだよ。」と息子の目を見て話してくれました。
「留学」という選択の周囲への説明
本来、この三者面談では私立高校の入試について確定させるのが一般的な流れです。
私立高校と公立高校を併願とするのか、私立一本で行くのか。その場合、推薦枠を利用するのか、入試相談を利用するのか。
友達が私立高校の推薦枠の確保や願書提出に躍起になる中、「私立は受けない」という異色の選択は、さまざまな噂や情報が独り歩きしてしまうことの懸念がありました。
誰かひとりに話せば、興味本位であっという間に話題になることは目に見えています。
悪い影響は出るとは考えにくいものの、デリケートな今の時期、できるだけ刺激となる話題は避けたいとの理由もあり、現時点で周知することはマイナス面しかない、と先生とも意見が一致しました。
こちらの記事でも触れましたが、受験勉強に励む友達の足を引っ張ることだけは絶対に避けたかった私たち。
最終的に、公立高校の受験結果が出るまでは、「留学」の可能性の周知は先生のみにとどめ、友人たちには伏せることになりました。
後日談ですが、本人が黙っていられるかと心配はあったものの、最後までしっかりと約束は守ったよう。公立高校合格発表の日に友達にカミングアウトして、かなり驚かれたと話していました。
受験戦争からのイチ抜けは不本意だった
息子は中一から塾へ通い、塾の友達と、目指す高校についてよく会話をしていたようです。
まさに「みんなでこの高校を目指そう!」的なノリです。青春です。
中3の春にはそれぞれの志望校を大きく紙に書いて塾の壁に貼り、毎日通った夏期講習では、暑い中、合格に向けて一緒に勉強してきた仲間たち。強化合宿では、海辺を走ったりキャンプファイアを囲んで「頑張ろうぜ!」と励ましあったりもしたそうです。
そんな風にみんなで受験に向けて頑張ってきた中、一人だけ受験戦争から「イチ抜けた!」というのは息子としても本意ではなかったよう。
第一希望はあくまで公立高校。そして頑張った結果が叶わなかった場合、海外の高校に進学。という形をとることで、まわりと足並みを揃えることになりました。