カナダの高校に通う息子の留学生活。前回は絶対に必要なスマホについて、我が家の契約事情について紹介しました。

今回は「おこづかい管理」について、実際に使っているカードや親子間のルール、現地での支払い事情などを紹介します。
留学先でのおこづかいはアルバイトでまかなう?
最初は「衣食住は保証されてるし、お小遣いが足りなくなる分は現地でアルバイトでもさせればいいかな」と軽く考えていました。
ひと昔前は「学生ビザでは就労許可は降りない」が大原則でしたが、現在は「学生ビザだから絶対にバイトできない」というのは古い理解になりつつあります。
2024年11月8日以降、条件を満たせばオフキャンパスで最大24時間/週まで就労できることになっているのです。
ただし、学校やビザ表記によっては制限が付く場合があるので、手放しで「バイトOK!!」とは言えない状況にあることには変わりはありません。
英語力向上のためにはアルバイトのような社会経験は最高の手段だと感じますが、実は現地の高校に通う純ジャパの高校生、すべて英語での授業についていくだけでも必死です。卒業を前提にしているわけですから、それなりの評定をとることも必要。授業の内容を理解をするのもひと苦労です。
また、放課後は課題やクラブチームの練習などに追われたりと、実際にアルバイトをする時間を確保するのは現実的ではないようです。
留学の目的としては当然のごとく学業が最優先となるので、アルバイト収入を当てにして渡航費用を捻出するような計画は、リスキーかもしれません。
留学中のお小遣いは月にいくら必要?
カナダBC州の公立高校に通う場合、ホームステイ先は州が管理しており、規則で条件が厳しく設定されています。
以下の記事でも触れていますが、ホームステイの受け入れ側にも条件があるのです。

ホームステイを受け入れる家庭は、以下の3つを用意しなければならず、生活をしていく上でこれらは保証されることになります。
- ベッド付きの個室
- 学習机
- 3度の食事
ですが、やはり日常生活に必要なシャンプーやボディソープなどの日用品や、小腹対策の夜食など、自分で用意する必要があるものも多々あります。
それに加え、友人との外食や遊び、交通費(別記事にしますが月70ドル弱で、月単位で定期のように使えるカードを持つことができます)や美容院代などなど。
息子は物欲がある方ではないのですが、それでも平均すると月に5~10万円程度は必要となるようです。
留学生への送金方法はさまざま。最善の方法は?
一般的に海外で長く生活するにあたっては、銀行口座を作成し、付随するカードで取引をするのが一般的です。
でも、出発時点では中学を卒業したばかりの15歳。お小遣いが数千円入っているお財布を持ち歩くくらいで、今までクレジットカードはもちろんのこと、キャッシュカードすら自分で管理した経験はありません。
そんな息子にいきなりキャッシュカードを持たせて銀行で現金をおろして管理させるのは不安しかない。 しかも場所は不慣れな海外です。
そこで、カナダで生活する留学生に毎月のお小遣いを渡すにはどんな方法があるのかを調べてみました。実際に試してみた中で感じたメリット・デメリットをまとめます。
① 銀行の海外送金
いちばん基本的な方法が、銀行を通じた海外送金です。日本の銀行(たとえば三菱UFJや三井住友、ゆうちょなど)から、カナダで開設した本人名義の口座に直接送金します。
安全性は高く、確実に届く点は安心。
ただし、1回あたりの手数料が3,000〜7,000円ほどかかるうえ、着金まで数日を要します。送金額が少ないと、手数料の割合が大きく感じてしまうのが正直なところです。
毎月の生活費など定期的な送金には向いていますが、「少額をこまめに送りたい」という家庭には少しハードルが高い方法です。
② Wise(ワイズ)による海外送金
次に検討したのが、最近人気の海外送金サービス「Wise(ワイズ)」です。
実際の為替レートに近い金額で両替され、手数料もとても安いのが特徴。スマホアプリから手続きでき、1〜2日ほどでカナダの口座に着金します。
初回登録時に本人確認などが必要ですが、慣れてしまえば操作はとても簡単。金額を入力して送金ボタンを押すだけで完了します。
ただし、本人が現地で自分名義の銀行口座を開設していないと使えません。
まだ未成年のうちは、そもそも口座開設自体が難しい場合もあるため、家庭によってはこの方法が現実的でないことも。
③ Revolut(レボリュート)などのデジタルバンク型
Revolut(レボリュート)やPayPayグローバル送金のような、スマホでお金を管理できる「デジタル送金サービス」もあります。
アプリ上で日本円とカナダドルの両方を管理でき、必要なときに即時送金できるのが魅力。カードを発行すれば、現地でもそのまま支払いに使えます。
為替手数料も安く、アプリで残高をリアルタイムに確認できるのは便利。
ただし、登録や本人確認の工程が少し複雑で、スマホ操作に慣れていないとややハードルを感じます。
仕組みを理解できる年齢ならとても便利な方法ですが、息子にはまだ少し早い印象でした。
④ 日本の銀行口座+国際キャッシュカード
昔からある方法として「日本の口座にお金を入れておき、海外で引き出す」というスタイルもあります。
新生銀行やSony銀行など、一部の銀行では海外対応のキャッシュカードを発行しており、カナダのATMで現地通貨をおろすことが可能です。
日本から振り込むだけで使えるのはシンプルですが、1回ごとにATM手数料+為替手数料がかかります。加えて、現金を多く持ち歩くリスクも気になるところ。
中学生に「自分でATMに行って現金を管理してね」と言うのは、やはり少し不安が残ります。長期滞在よりも、短期のホームステイなどに向いた方法です。
⑤ クレジットカード・プリペイドカード
そして最後に検討したのが、クレジットカードやプリペイドカード。クレジットカードは緊急時に便利ですが、年齢制限があり、未成年者が作るにはハードルが高いことも。
一方、プリペイドカードなら年齢制限がなく、保護者がチャージした分だけ使える仕組みです。
アプリで残高を確認でき、必要なときにすぐ追加チャージできる点が大きな安心。買い物や交通機関の支払いもカード1枚で完結します。
現金を持ち歩かずに済むうえ、紛失時もアプリからすぐに利用停止できるので、管理面でも安心でした。「使いすぎる心配がない」という点も、親としては大きなメリットです。
我が家が最終的に選んだのは「プリペイドカード」
現地での支払いはほぼカードです。屋台のようなスタンド式の店以外なら、チップも含めてほとんどの支払いをカードで済ませます。
カード1枚で生活が完結し、財布の中に現金がほとんどなくても不自由しないのです。

現金なんて、ほとんど使ってないよ!
むしろ持ち歩かないし。
いろいろな方法を調べて比較した結果、最終的に我が家が選んだのは三井住友カードの「CashPassport」というプリペイドカードでした。
チャージした分しか使えないため、万一カードが紛失しても被害を最小限に食い止められると感じたのです。
チャージ方法も簡単。日本の指定された振込口座へ入金すると、数日後にはプリペイドカードへ反映される、という流れです。
このカードはVISAブランドなので、現地でもクレジットカードと同じように、ほぼどこでも使えます。バスに乗るときにもそのままタッチするだけ。
CashPassportのメリット
- VISA対応で使える場所が多い
- 利用履歴がWebで確認できる
- 予備カードも送ってくれる
- 大手なので安心感あり
- 銀行で現金も引き出せる
少額の管理からスタートでき、本人の使う感覚も身につきます。何より、親が遠隔でチャージや利用履歴を確認できるので、安心して任せられるのです。
また、友達と割り勘で食事をするときなど、現金が必要になることもあるため、銀行で現金を引き出せることは魅力のひとつ。
プリペイドゆえに残高管理は必須なのでお金の管理を学ぶ練習にもなり、本人にとってもよい経験になっているようです。
CashPassportの注意点と使い方
とはいえ、プリペイドカードも万能ではありません。
日本の銀行から振り込みによってチャージできるCashPassportですが、為替レートによって受取額が変動するのはやはりネック。同じ金額を振り込んでも、チャージされるカナダドルは日によって違います。少しでもレートが良い日を狙って入金したいところですが、急遽必要になるときもあり、なかなか難しいです。
また、ネット決済にはプリペイドガードが使えない場面がありました。
たとえば、アクティビティの予約時のデポジットなど。デポジットが掛かる場合、プリペイドだと一時的に残高が保留されて利用できなくなることがあるのです。そんなときは別のカードが必要です。
ネット決済にはバンドルカードを併用
CashPassportが使えない場面では「バンドルカード」を使っています。これは日本で発行できるVisaプリペイドカードで、スマホアプリで管理できるのが便利です。



ネット予約はCashPassportは使えないから、バンドルカードを状況に応じて使ってるよ
バンドルカードには「リアル+」というタイプがあり、日本ではもちろん、海外の実店舗でも使えます。未成年でも発行可能で、チャージした分だけ使えるので、使いすぎ防止にもなります。
バンドルカードの特徴
- Visa加盟店で使える
- アプリで残高管理・利用停止が可能
- 日本にいながらにして管理できる
- 海外利用時は4.5%の事務手数料あり
我が家では、CashPassportが使えない場面だけに絞って使うようにしています。頻繁に使うには少し割高なので、用途を限定するのがポイントです。
親子間のルールも大事
我が家では、以下のような親子間のルールを決めたうえで任せています。
- 1万円までの決済は連絡不要
- 1万円を超える可能性がある場合は事前に連絡
- 残高が少なくなったらLINEで知らせる



残高ゼロになって焦ったことある…
最後に:おこづかい管理も留学の一部
我が家の場合は「紛失や盗難時のリスクを最小限に抑えること」「親が日本から管理できること」「未成年でも使えること」「使いすぎ防止」をポイントに検討した結果、プリペイドカードがその答えでした。
とはいえ、メインカード、予備カード、現金を用意し、いろいろなシチュエーションに対応できるパターンをいくつか用意しておくことが安心と感じました。
大切なのは「家庭の状況と子どもの年齢に合っているかどうか」。
海外での送金方法にはさまざまな選択肢がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあるため、家庭のスタイルに合わせて選ぶのが良さそうです。








